日本歯科大学附属病院 矯正歯科教授 小森成先生
演題「II級の治療を再考する」
講演の要旨
II 級不正咬合はI級と比べて骨格的な不調和を含むために難症例であることが多く、III 級と比べて外科的矯正治療を受け入れる患者が少ないことからもカモフラージュ治療の度合いが強い。 II 級不正咬合に占める骨格的要素を把握した上で、上下顎のどこに、そしてどの程度アプローチするか、さらにはどの程度の副作用を許容するかで治療戦略が定まる。臨床の話になると方法にばかり目が移ってしまい、成長発育や歯の移動に伴う生物学的な背景、ならびにバイオメカニクスがやや軽視される傾向にある。本講演では II 級不正咬合の骨格的特徴と治療至適時期、カモフラージュ治療としての I 級仕上げと II 級仕上げについて、生物学的背景を意識しつつ文献を交えて考察する。
今年のテーマは、 「中学生のfull Class IIをやっつけろ!
ー術後の大臼歯咬合関係を考えるー」です。
趣旨説明
思春期にある中学生は心身ともに不安定になりやすい。このような中学生からいかに矯正歯科治療への協力を引き出すか?あるいは協力をミニマムにしながら治療目標に到達させることが可能なのか否か?手段でしかない小臼歯抜歯非抜歯の議論にとどまらず包括的に中学生のFull Class IIの治療について議論を深化させることを目標とする。
テーマにそくして、初診時中学生のfull Class II症例をご持参ください。該当する症例がなければ永久歯列期のfull Class II症例でもかまいません。初診時資料のみの症例、動的治療中の症例または動的治療終了した症例のいずれでも結構です。
それぞれが持ち寄った症例について、意見交換を行います。新しい考え方をみつけたり、同じ悩みに安心したり、視野が大きく広がることでしょう。恒例の台湾のレジデントによる素晴らしい症例報告からも、多くを学べることと思います。